1.はじめに
お客さまがご満足される質の高いサービスの基本は、温かく心のこもったサービスをすることですが、具体的には電話における言葉づかいや態度など最初に応対した社員の印象を通してその会社のイメージがつくられるものです。
温かく心のこもったサービスは、お客さまに対する“まごころ”の表れであり、これは服装や態度にも表れるものです。キチンとした服装や、誠実な態度でお客さまに接することはサービスマナーの基本であり、社員一人ひとりが“会社の代表”であると自覚することが日々の良い応接の基となります。
さらに一歩進めて、より満足していただく応接に努めようとする心がまえをもっていただきたいものです。
このような観点から、サービスマナーのポイントをまとめましたので参考にしてください。
(1)服装と身だしなみ
“服装はその人を表す”と言われ、不潔でだらしのないなりは、気分までだらけさせるばかりか、お客さまに不快感を抱かせます。一方、清潔で明るくキチンとした服装は、態度を引き締めお客さまに好印象を与えます。始業時刻前には鏡の前に立ち、身だしなみを点検しましょう。
また、お客さまと接する職場では、お客さまに不快感を与えないよう華美過ぎたり、カジュアル過ぎるものは避けてください。
服装・見だしなみチェック
□ 髪が乱れていませんか。
□ 歯、耳、手はきれいですか。清潔ですか。
□ 爪はきれいですか。のび過ぎていませんか。
□ バッジ、名札が正しくついていますか。曲がっていませんか。
□ 服にシミや汚れはありませんか。
□ ネクタイ、リボンが汚れていたり、曲がったりしていませんか。
□ 襟や袖口が汚れていませんか。
□ ボタンがとれていたり、はずれかかっていませんか。
□ ズボン、スカートがシワになっていませんか。
□ ハンカチは清潔なものを用意していますか。
□ 靴下は清潔ですか。
□ 靴が汚れていませんか。磨いてありますか。
(2)応接時の態度と動作
①正しい姿勢
常に誠意をもって接することが心がけましょう。
○ 立ったとき
・ 背筋を伸ばし胸を張り、あごを軽く引く
・ 肩の力を抜く
・ 腕は自然に下げ、体につけるか手先を前で重ねる(後ろ手に組まない)
・ つま先を軽く開き、かかとを揃える
○ 腰掛けたとき
・ 椅子に深く腰掛け(ソファ-は浅めに座る)背と背もたれの間を軽く開ける
・ 上体は真っ直ぐ伸ばす
・ 両足を揃える
・ 男性の場合/こぶし二握り程開けてもよい
・ 女性の場合/椅子が低いときは斜めにする
②お礼儀の仕方
感謝の気持ちを込めて、頭を下げ腰から曲げます。
○ 基本動作
・ 背筋を伸ばして立つ
・ 両腕を両脇につけ、挨拶をする
・ 上体を曲げ、目線を床に移す
・ そのまま一端止める
・ 上体をゆっくり起こし真っ直ぐ立って、相手の顔か胸に目線を移す
○ 会釈(15°)
お客さまや上司、先輩との廊下・階段でのすれ違いや、エレベーターの乗り降りのときに行います。
上半身全体でお辞儀をする(背中が丸くならないように注意する)
○ 普通礼(30°)
感謝の気持ちを表すときや、訪問先を退出するときに行います。
まず、気を付けの姿勢を取り、相手から自分の顔が見える範囲でお辞儀をする。
○ 最敬礼(45°)
感謝の気持ちを強く表すときや、お詫びするときに行います。
気を付けの姿勢から深々とお辞議をする。
(3)挨拶と返事
挨拶は、より良い人間関係をつくるための潤滑油の働きをします。元気に誠意をもって挨拶をすれば、相手も気持ちの良い挨拶を返してくれるものです。自分から進んで、大きな声で明るく挨拶しましょう。
○ 最後までハッキリと声を出す
せっかくの挨拶も小さな声だったり、語尾がハッキリしなかったりすると意味がありません。出だしと同じ調子で最後までハッキリと発声しましょう。「ハイ」「いいえ」などの返事も元気よく応えたいものです。
○ 名前を呼んで挨拶する
挨拶をしても、なかなか挨拶を返してもらえない、という場合は、「〇〇課長、おはようございます」「〇〇部長、おつかれさまです」など名前を呼んで挨拶をすると良いでしょう。
ハ はい
イ いいえ
オ おはようございます
ア ありがとうございます
シ 失礼します
ス すみません
2. 会話のマナー
会社のイメージは、ほとんどが応接した社員の言葉づかいや態度で形づくられます。心のこもったサービスを進める上で大切なのは、お客さま本位の接客で臨み、正しい敬語、好ましい言葉づかいをもって応接することです。お客さまのお話をしっかりうかがい、常に私が“会社の代表”であるという意識をもって誠心誠意お応えすることが大切です。応接の最も基本的な部分である会話のマナーを身につけておきましょう。
(1)会話の基本
会話の基本6カ条
①声をハッキリ出す
いくら正しいことを話していても、声が小さいとお客さまは理解できません。“声をハッキリ前に出す”こと、特に“語尾をハッキリ話す”ことによってお客さまは聞き取りやすくなります。
②お客さまの反応を確かめながら話す
お客さまの言葉は「YES」であっても、表情「?」の場合もあります。反応を確かめながら話を進めましょう。
③話上手は聞き上手
一方的に話をしていると、お客さまに悪い印象を与え、話を聞いてもらえなくなるかもしれません。まずお客さまの話に耳を傾けましょう。
④お客様の話を途中でさえぎらない
お客さまの話を途中でさえぎることは、たいへん失礼にあたります。お客さまの話が一段落するまで待ちましょう。
⑤社外の方に専門用語を使わない
専門用語や不必要なカタカナ用語はお客さまには理解できない場合があります。常に一般的な社外で通用する用語に言い替えられるように心がけましょう。
⑥重要事項は具体的に確認する
特に重要な事項は5W1Hで確認しましょう。
(2)敬語の種類
敬語は大きく次の3種類に分けられます。その場に応じた正しい敬語を使えるようにしておきましょう。それぞれの具体例は巻末資料を参考にしてください。
○ 尊敬語
相手、または相手に関係する物事について、尊敬の気持ちを表すときに使います。
主な例
「来る」 「いらっしゃる」「おいでになる」「おみえになる」など
「言う」 「おっしゃる」「仰せになる」など
○ 謙譲語
自分、または自分に関係する物事について、謙遜の気持ちを表すときに使います。
主な例
「来る」 「参る」「うかがう」など
「言う」 「申す」「申しあげる」など
○ 丁寧語
相手に対して、丁寧な言葉づかいをするときに使います。基本的に「です」「ます」調になります。
主な例
「来る」 「参ります」「うかがいます」など
「言う」 「言います」「申しあげます」など
(3)好ましい言葉づかい
社内、社外にかかわらず、敬語、敬称を正しく使い分けられるようにしましょう。好ましい言葉づかいの具体例は、巻末資料をご覧ください。
自分のことを指す場合 わたし、わたくし
役職者を呼ぶ場合 〇〇課長、〇〇所長など
役職者以外の社員を呼ぶ場合 〇〇さん(男女問わず)
社外の人を呼ぶ場合 〇〇常務、〇〇さま、〇〇さん
社外で上司を紹介するとき
〇 課長の田中です
✕ 田中課長です
※社外で社内の人を呼ぶ場合は、たとえ上司であっても身内にあたるので敬称をつけない(「課長の〇〇もよろしくと申しています」)。
※会社では、自分よりも年少者だが勤続年数が長い人、自分よりも年長者だが勤続年数が短い人もいます。そのような人に対しても、“さん”づけをするなど、丁寧な言葉づかいをもって接しましょう。
<ワンポイントチェック>
大勢の前での自己紹介
①姿勢を正す
・ 立つ位置を決める。
・ 上着のボタンを止める。
・ テーブルより一こぶし開けて立つ。
②聞き手に目を向ける
・ いきなり話し出さない。
③挨拶、礼をキチッとする
・ 普通礼または最敬礼する。
・ 「おはようございます」「皆さん、こんにちは」などと、ハキハキとした声で挨拶をする。
④氏名を名乗る
・ 明るく、抑揚をつけて、フルネームで名乗る。
⑤自分を印象づけるPR法
・ 由来法…名字のルーツを話す。
・ 反復法…視点を変え繰り返し話す。
・ 関連法…有名人や歴史上の人物に関連付ける。
・ 解字法…漢字の説明をする。
・ 有意法…語呂合わせなどの意味を持たせる。
⑥人柄、人格を伝える
・ 趣味、特技を披露する。
⑦場に応じた一言
・ その場で感じたこと、感想を述べる。
⑧名前を決定付ける
「以上で、〇〇の自己紹介を終わらせていただきます。」
⑨挨拶
「よろしくお願いします。」
⑩礼をキチッとする
・ 普通礼または最敬礼をする。
・ キチンと前を見てから、次の動作に移る。
3. 応接のマナー
お客さまとの応接は、職種、職位、性別、年齢に関係なく、全社員が感じ良くできなければなりません。お客さまにご満足いただけるか、不快感を与えるかによって、全社の印象や信用が左右されます。応接者は常に、私が“会社の代表”であるという意識をもって接客するよう心がけましょう。
お客さまが来社された際の、応接室への案内、席の上座・下座、お見送りまでの一連の応接のマナーをしっかり身につけましょう。
(1)応接の基本
○ お客さまの身になって
お客さまがどんな目的で、何を望んで来社したかを理解し、その上でお客さまの立場に立って誠意のある応接に努めましょう。
○ 豊富な知識を身につける
社内知識、業界知識はもとより、一般常識を豊富にし、お客さまのご要望に的確に応えられるようにしたいものです。
○ お客さまによって差をつけない
お客さまの服装・センス・年齢や顔馴染みということで応接に差をつけないことが大切です。
○ お客さまの目の届くところで不注意な態度を取らない
休憩時間だからといって、窓口やお客さまの目が届くところで、お茶を飲んだり、お菓子を食べたりしないようにしましょう。
①覚えておくと便利な応接用語
お客さまと接するときの言葉や話し方は、お客さまにご満足いただく上で重要です。十分に使い慣れておき、いつでもスムーズに話せるようにしたいものです。なお、言葉だけの応接でなく、常に心をこめて話すことが大切です。
○ 挨拶用語
「おはようございます」
「毎度ありがとうございます」
「いつもお世話になっております」
○ マジックフレーズ
お客さまのご依頼・要望事項に応じられないときに、お客さまの気持ちを和らげる魔法の言葉としてマジックフレーズを身につけましょう(一般的には依頼型で話します)。
「恐れ入りますが」
「申し訳ございませんが」
「あいにくでございますが」
「お願いできますでしょうか」
「せっかくお越しいただきましたのに、申し訳ございません」
「…していただけますでしょうか」
「まことに申しあげにくいのですが」
②案内の仕方
○ お客さまの身になって、先導する
・ どこへ案内するか行き先を告げてから歩き始める(行き先がわかっていれば、お客さまはそのように心の準備ができる)
・ 案内者は、お客さまの2~3歩斜め前を歩き、歩調をお客さまに合わせる(お客さまに廊下の真ん中を歩いていただく)
・ 曲がり角や階段の踊り場では、一端立ち止まり、方向を示し声をかける
・ 方向を示す場合は、指差さずに掌を上向きにして指先を揃えて行う
③エレベーターの乗り降りの仕方
エレベーターは降りる人が優先で、完全に降りてから、お客さまを誘導しましょう。
○ 乗るとき
自分が先に乗り、ドアを軽く押さえるか、“開ボタン”を押してお客さまを誘導します。
○ 降りるとき
お客さまより先に降り、エレベーターが閉まらないようにドアを片手で軽く押さえて置き、お客さまが降りたのを確認します。
<ワンポイントチェック>
先に乗り降りするのは、エレベーターが安全な位置に止っていることを確認するためです。
④応接室への誘導
ドアを開けて、お客さまに軽く一礼してお客さまをご案内しましょう。
○ 外開きのドア
先にドアにたどりつき、ドアを開けて待ち「どうぞお入りください」と招き入れてから、自分が入ります。
○ 内開きのドア
自分が先に入り、内側でドアを押さえて置き、お客さまを迎え入れます。
<ワンポイントチェック>
ドアはノブのついている反対側の手で開けてから、持ち替え、空いている手でお客さまを招き入れます。ドアを開ける最初の10cm、ドアを閉める最後の10cmは特にゆっくり開閉するよう心がけましょう。
(急に開けると打ち合わせ中だったり、大きな音が出るおそれがあります)
○ お客さまに席を勧めする
お客さまによっては、遠慮して末席に腰掛ける人もおられるので「どうぞこちらの席にお掛けください」と、上席に案内しましょう。
○ 退室するとき
「少々お待ちください」と一礼して退室します。お客さまをお待たせするときは新聞や雑誌を適宜用意しましょう。
⑤上席と末席のマナー
○ 良い席の条件
お客さまに掛けていただく席は、落ちついて面談できる席を選びましょう。
・ 人の出入りが気にならないこと
・ 安心してくつろげること
・ 採光や照明がまぶしくないこと
(注)お客さまには上席を勧め、自社側は下席に座る。
応接室・会議室・事務所内の応接セットの席順
・ 出入り口から最も遠い席が上席
・ 応接室の場合、原則として長椅子はお客さま用、肘掛け椅子は自社用
・ 事務所内の応接セットでは、事務机から一番遠い席が上席
その他の座席の順位
レストランや自動車、列車にも座席の順位があります。次の例を参考にしてください。
○ 洋間・日本間の席順
・ 原則として、出入り口から最も遠い席が上席
・ 日本間の場合、床の間を背にする席が上席
○ レストランの席順
入口から最も遠い席が上席になります。
○ エレベーターの並び順
入口から中に入って左奥が最上位、右奥が2番目、右手前が3番目、左手前が4番目になります。
○ 自動車の席順
運転手の後席が最上席で、次が反対側の窓側、真ん中は3番目の席になります。
○ 列車の席順
進行方向を向いた席の窓側が最上席で、その向かい側が2番目、最上席の隣の通路側が3番目、その向かいが4番目になります。
○ 飛行機の席順
列車の場合と同じく、窓側、通路側、真ん中の席順です。
⑥お見送りの仕方
○ お見送りの際は、丁重にお辞儀をする
感謝の言葉を述べ、お客さまが見えなくなるまでお見送りしましょう。
「本日のご用件は確かにうけたまわりました」
「おいでいただきまして、ありがとうございました」
「ありがとうございました。また、お越しください」
○ お見送りは、最後が大切
・ 窓口…ドアを出るまで
・ 車……見えなくなるまで
・ エレベーター…ドアが閉まるまで
(2)訪問のマナー
①訪問の基本
○ 訪問は事前に約束を取る
・ 訪問をするときは、必ず約束を取る
・ 一般的には電話で、状況により文書で依頼する
○ 約束の時間を守る
・ 約束時刻より5分前には到着する
・ 遅れそうな場合は、電話連絡をし、その旨を伝える
○ 服装・身だしなみを整えて
・ 訪問する前には鏡を見て服装・見だしなみを整える
②他社を訪問する場合
○ 受付に訪問の来意を告げる
・ 会社名・名前と相手の方の所属と名前を告げる
・ 約束の有無を伝える
③お客さまのお宅を訪問する場合
・ 社員証、名刺、パンフレット等の必要なものを忘れないようにする
・ お客さま宅では礼儀正しく訪問の挨拶をする
・ 家の中に入るときは、要件をハッキリ伝え、お客さまの指示のあった席に座る
○ 案内のされ方
・ 案内者の2~3歩後を歩く
・ 入退室の際は、会釈・挨拶をする
・ 案内者が女性の場合に階段を上がるときは、真後ろにつかないように気を配る
・ 知っている場所でも自分から先に行かない
○ 応接室のマナー
・ 案内された席に座るが特に指示が無い場合は、ドアに一番近い席に座る
・ 相手の方が見えたら、時間を取っていただいたことに謝辞を述べる
・ 初対面の場合は名刺を出し自己紹介をする
○ 退出する場合
・ 相手の方はもとより、案内者にも丁重に挨拶する
(3)名刺のマナー
①名刺の扱い方
○ 名刺は本人の身代わり
・ 必ず名刺入れに収め、お客さまにお会いしたときに即座にお渡しできるよう、お客さまに向かって入れておく
・ お渡しするときは、お客さまが読めるようにお出しする
・ 定期いれや手帳の間に入れておくと名刺の角が折れたり、他人の名刺を間違えてお渡しするおそれがあるので避ける
・ 名刺は腰から下にさげないことが原則。したがって、名刺を持った手は腰から下にさげない。また、名刺入れは背広の内ポケットや鞄に入れ、スラックスのポケットに入れることのないよう注意する
・ お客さまの名刺は両手で丁寧に扱う
・ 名刺をいただいたら、必ず目を通し、お名前を確かめてからしまう
・ 名刺は初対面の挨拶時に、立ったまま交換することが原則。和室では正座をして行う
②名刺の手渡し方
○ お客さまの手に渡すのが基本
・ 名刺は訪問者の側から、また立場の下の者から先に出すのが原則である
・ 名刺入れから取り出し「〇〇情報サービスの〇〇と申します」と名乗り、お辞儀をしながら少し円を描くようにお客さまに手渡す
・ 「私は、こういう者ですが」と、言って名刺を手渡さない
・ もし、出し遅れた場合は、「遅くなりまして申し訳ございません」と一言添えてお渡しする
・ 必ずお客さまの手に渡すようにし、テーブルや机の上に置くことは避ける
○ 鞄や荷物を持ったまま名刺を渡さない
・ 鞄や床に、荷物は「こちらに置かせていただいてよろしいでしょうか」と、確認を得てから荷物を置く
③名刺の受け取り方
○ 必ずお客さまの名前を確認
・ 両手で丁寧に受け取り、読めない場合は「恐れ入りますが、何とお読みしたらよろしいでしょうか」と、正しい読み方をうかがい、以後の会話はお名前で呼ぶようにすると親しみが増して良い
○ 受け取った名刺の扱い方
・ いただいた名刺は、一枚の場合は、名刺入れをお盆替わりにしてその上に置く
・ お客さまの名刺が数枚ある場合は、お座りになっている順に名刺を並べておき、名前を確実に記憶する
④名刺を交換する場合
・ お互いに名刺を出す用意をしているときは、同年輩の場合はお互いに片手で交換しても良いが、一般的には、自分の名刺をお客さまにお渡ししてから、お客さまの名刺を両手で受け取る
・ お互いに同時に片手で交換する場合は、お客さまの名刺は右手で受け、左手の名刺入れの上に乗せ、自分の名刺を渡すと良い
名刺についてのQ&A
Q1:名刺入れから取り出すよりワイシャツのポケットから出す方が早いが?
A:だらしない印象をお客さまに抱かせるので、必ず名刺入れから出します。また、いただいた名刺をワイシャツのポケットに直接しまうことは、お客さまを軽んじているように取られやすいので避けましょう。
あらかじめ、お会いする人数が分かっている場合は、必要な枚数を名刺入れの間にはさんで置くと素早く取り出せて便利です。ためしてみてください。
Q2:以前名刺を渡したが、お客さまが自分のことを、覚えていないような場合は?
A:「以前お渡したと思いますが」と、言葉を添えてお渡しすれば良いでしょう。
Q3:お客さまの前で、いただいた名刺に仮名をふったり、字を書き込んで良いか?
A:一言ことわれば、お客さまの前で振り仮名をつけても良いが、日付・要件・特徴はその場で書くことは失礼にあたります。
Q4:打ち合わせ中に名刺の上に書類を置いても良いか?
A:お客さまを軽んじることとなるため名刺の上に書類を置かないよう注意しましょう。
Q5:テーブルの上の名刺をいつしまうか?
A:お顔とお名前を覚え、話に一区切りついたとき、「ちょうだいいたします」と、一言ことわってから、目礼してしまうとお客さまに好印象を与えます。
4. 電話のマナー
ビジネスの場において電話は、たいへん重要な役割を果たします。
ほとんどのお客さまとは、まず電話を通して接しますが、電話では声だけの応対するため、お客さまは応対者の口調や言葉づかいなどちょっとした部分から、会社のイメージをつくりあげます。電話応対の善し悪しがそのまま会社の第一印象として形られる訳です。したがって、応対者は常に私が“会社の代表”であると自覚して、電話応接にあたることが大切です。
電話の「受け方」「取り次ぎ方」「かけ方」など電話応接のマナー、エチケットを十分に理解して日常営業に活かしましょう。
(1)電話応対の心がまえ
電話は声だけが頼りの応対です。お客さまの表情や感情を受話器を通してつかまなければなりません。反面、皆さんの応対の善し悪しがそのまま自社の評価につながります。
一人ひとりが“会社の顔”として、お客さまに好ましい印象を与えるように心がけ、明るくハッキリとした口調で、丁寧な応対に努めましょう。
(2)電話応対の基本
○ 目の前にお客さまがいるつもりで話す
お客さまに見えないからといって、だらしない態度で出ると自然に言葉づかいが雑になり、思わぬ失敗を犯すこととなりがちです。目の前にお客さまがいるつもりで、礼儀正しく丁寧に話すことを心がけましょう。
○ 言葉は明るい声でハッキリと
・ 特に語尾をハッキリと発音する
・ 専門用語を避け、わかりやすい言葉で話す
(3)電話の受け方
○ 3回以上鳴らさない
・ もし、3回以上待たせた場合は「お待たせしました」
・ 5回以上待たせた場合は「たいへんお待たせしまして申し訳ございません」
○ メモを取る準備をする
○ 受話器をとったら
・ こちらから名乗り(「もしもし」はいらない)
「〇〇情報サービスの〇〇でございます」
・ 10時頃までは、「おはようございます、〇〇情報サービスの〇〇でございます」と、でる
・ お客さまの会社名・名前を確認する
「失礼ですが、どちらさまでしょうか?」
・ 聞き取りにくい名前のときは確認する
「どの様な字を書きますか?」
・ 挨拶の言葉を話す
「いつも、お世話になっております」
○ 用件をうかがうとき
・ メモをとり、内容を確認する
○ 用件が済んだら
・ 自分の所属と名前を名乗る
「営業部の山田と申します」
・ 終りの挨拶をする
「ご連絡、ありがとうございました」
「失礼いたしました」
・ お客さまが電話を切ったのを確認してから受話器を置く
(4)電話の取り次ぎ方
○ 取り次ぐとき
・ 電話のたらい回しをしない。お客さまの名前・用件をうかがい確認してから取り次ぐ
・ 待たせないように心がけ、長引くときはこちらからかけ直すようにする
「恐れ入りますが、少々時間が掛かりますので、折り返し、お電話をさせていただいてよろしいでしょうか?」
※ 電話番号をうかがい確認すること。
○ 指名された人が不在の場合
・ 何時頃連絡が取れるかお客さまに伝える
「申し訳ございません、ただいま山田は外出しておりますが、午後3時頃戻る予定です。よろしければ、私がご用件をうけたまわります」
・ 伝言を依頼されたときは、メモを取り確認する
お客さまの会社名・氏名・電話番号・用件の概要・受付け時刻
・ 自分の名前を名乗る
「私、吉田がうけたまわりました。ありがとうございました」
(5)電話のかけ方
○ 準備を5W1Hで
・ 用件の概要、内容、話す順序を簡単にメモする
○ 相手の方がでたら
・ こちらから名乗り、相手を確かめる
「〇〇情報サービスの佐藤でございますが、山田さまでいらっしゃいますか?」
・ 挨拶をキチッとする
「いつも、お世話になっております」
○ 相手の方が不在の場合
・ 後でかけ直すか、伝言を依頼する
○ 用件が済んだら
・ 丁寧に終りの挨拶をする
「よろしくお願いします」
「失礼いたしました」
・ 相手が電話を切ったのを確認してから受話器お置く
5. 社外文書の作成
社外文書は、個人ではなく、会社が作成し、発信する文書です。送り先の相手に失礼がないように、一定の書式に従って文書を作成する必要があります。ビジネス文書独特の形式をしっかり覚えましょう。
また、慣れないうちは、季語や慣用句、頭語と結語などは巻末資料を参考にして書くようにしましょう。
(1)良い社外文書を作成するために
○ 一定の形式を守る
社外文書の形式を守って作成すれば、自然に相手にとって読みやすい書式になります。逆に形式を破ってしますと、不自然で読みにくい文書になってしまいますので、注意しましょう。
○ 独特な言い回しに慣れる
文書などに使われる書簡用語を適切に使えるようになりましょう。
「ご高配(ご厚情)を賜り」
「なにとぞご査収ください」
○ 尊敬語・謙譲語を正しく使い分ける
文書においても、尊敬語と謙譲語を取り違えて使用してしまう場合が多く見受けられます。巻末資料を参考にして正しい敬語を使いましょう。
○ 敬称を正しくつける
会社・団体………………御中
個人………………………様
(注)「殿」は事務連絡など特殊な場合か、役職名につけます。
例:人事課長 殿
人事課長 鈴木太郎 様
(2)社外文書の作成
○ 社外文書の基本型
社外文書は、次の項目から構成されています。書き漏れがないように注意しましょう。
①日付 発信日
②受信者名 正式名称を書く
③発信者名 正式名、所属部・グループ、氏名
④件名 タイトル「〇〇〇〇について」
⑤頭語 拝啓、前略など
⑥前文 時候の挨拶、感謝の言葉など
⑦主文 文書の主目的
⑧末文 文書の要点をまとめる
⑨結語 敬具、草々など
⑩記 内容・重要事項などを箇条書きにまとめる。最後に「以上」を入れる
○ 文書作成のポイント
前項の社外文書の基本型を参考にしながら読んでください。
①②③前付けを正しく書く
前付け(日付、受信者名、発信者名)は漏れなく記入しましょう。受信者、発信者は正式名称で書いてください。また、日付は文書を作成した日ではなく、受信者が文章を読む日にします。これは、「いつ」「だれが」「だれに」出した文書であるかを明確にし、責任の所在をハッキリさせるためです。
また、文書は後日の証拠にもなります。
④件名はシンプルに分かりやすく
件名は、いわば文書のタイトルです。「〇〇講演の依頼について」「〇〇のご案内について」など一読して内容の予測ができるようにします。
⑤頭語・⑨結語
頭語と一番最後の結語は常にペアで使われ、それぞれの頭語には決まった結語が結びつきます。組み合わせを覚えておきましょう。
頭語―結語の組み合わせ例
拝啓―敬具(一般的に使われる)
拝復―敬具(返信の場合)
謹啓―敬白(特別な尊敬の意思を表す場合)
前略―草々(略式、急ぎの場合)
※「前略」を使用する場合は、前文省略ですぐ用件に入ります。
⑥前文
○ 時候の挨拶
次に挙げたような慣用句を使い、「〇〇の侯」と表現します。各月で一つずつ覚えておくと便利です。また、これ以外の言葉は巻末資料を参考にしてください。
時候の挨拶例
1月 新春 7月 盛夏
2月 立春 8月 炎暑
3月 早春 9月 初秋
4月 陽春 10月 秋冷
5月 新緑 11月 晩秋
6月 梅雨 12月 初冬
○ 安否の挨拶
一定のパターンにそった言い回しを覚えましょう。
貴社(御社)にはますますご清栄のこととお慶び申しあげます。
皆様にはますますご活躍のこととお慶び申しあげます。
○ 安否の挨拶(お礼、お詫び)
・ 感謝やお礼の場合
平素格別のご愛顧を賜り厚くお礼申しあげます。
日頃何かとご支援をいただき深く感謝申しあげます。
・ お詫びの場合
平素ご迷惑ばかりおかけいたしまして、まことに申し訳ありません。
日頃ご無理ばかり申しあげて、まことに申し訳ありません。
⑦主文の書き出し
前文に続いて、次のように本題に入ります。
さて 「さて、このたび当社では…」 一般的な語句
ところで 「ところで、〇月〇日の会議で…」 話題を変えるとき
つきましては「つきましては、当社で〇〇参加者を募集し…」前の文に関係あることを続けるとき
実は 「実は、〇〇の件につきましては…」 本題に入るとき
なお 「なお、〇〇に関しましては…」 最後に付け足しをするとき
⑧末文はスッキリまとめる
文書終了を表す、お願いの形で終わるなど、いくつかのパターンを使い分けましょう。
○ 一般的なパターン
まずは書面にてご案内かたがたお願い申しあげます。
お礼かたがたお知らせ申しあげます。
ご挨拶かたがたお願い申しあげます。
○ 自分の愛顧、引き立てを願う
今後ともお引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
なにとぞ従来同様のご愛顧を賜りますよう、お願い申しあげます。
○ 相手の繁栄と願う
末筆ながら貴社のご発展おお祈り申しあげます。
時節柄皆様のご健康をお祈り申しあげます。
6. 電子メールのネチケット
ネットワーク・エチケット、略して“ネチケット”という造語も生まれるほど、電子メールは、電話、ファクシミリと並んで、ビジネスに不可欠な通信手段として広く定着しつつあります。基本的なマナー・エチケットは電話やファクシミリと変わりませんが、メール独特の使い方とルールがあります。しっかり理解しておきたいものです。
また、世界中の情報をモニタ上で検索・収集できるインターネットにもルールが存在します。社会人としてのマナーや著作権法を守ることはもちろん、法律で禁止されている情報を掲載したり、掲載されているサイトの情報を流用することは法律で禁止されています。便利さの追求におわれルールを無視しないようにしましょう。
(1)電子メールのネチケット
○ ネチケットの基本12か条
①送る前にもう一度確認を
紙に書く場合と違い、パソコンの画面上では誤字脱字が起きやすいものです。送信する前に再読する習慣をつけることが大切です。
②本文が短く簡潔な文章で
本文は、1スクロール程度でみられる長さにまとめましょう。必要事項を漏らさず、簡潔に仕上げるように心がけましょう。
やむを得ず長文のメールを送付する場合は、「長文で失礼します」など冐頭に一言入れておくと良いでしょう。
③前文は省略しても講わない
受信者の名前の後、いきなり要件を書きだしても失礼にはあたりません。しかし、受信者がお客さまや目上の人である場合など、受け取る人によって言葉づかいを変える気配りもほしいものです。
④文書の言葉づかいには十分注意
電子メールは文字だけのコミュニケーション方法です。受け取る人は、文書の言葉づかいから、発信者の人柄、ひいては会社のイメージを読み取ります。
「です」「ます」調のソフトな表現にするよう心がけましょう。
⑤件名に内容の要約を入れる
件名に内容の要旨や氏名を入れておくと、受け取る人もすぐにメールの内容をつかむことができます。
内容を見たくなるようなタイトルをつけましょう。
「会議のお知らせ」→「〇日の会議は〇日に延期」
「〇〇資料について」→「〇〇資料〇頁の追加項目」
⑥末尾には署名をつける
メールの最後には、自分の名前、会社名、部署名、メールアドレスなどをつけるのが一般的です。メールソフトにある署名機能を使うことをお勧めします。
⑦こまめに改行を入れる
1行の文字数は、長くても35~40字ぐらいが目安です。1行の文字数を多くしたり、改行を全く入れない文章を送信すると、受け取る側のメールソフトによっては、非常に見づらいメールになることがあります。
⑧漢字を少なく、ひらがなを多く
画数の多い漢字などは避け、ひらがなを多くし、こまめに「、」「,」で区切りながら、適度に改行し、段落ごとに1行空けていくと読みやすくなります。
⑨半角カナは使わない
半角カタカナ文字や「①、Ⅰ、(㈱、㈲、℡、フリーダイヤル)」といった特殊記号や外字は文字化けを起こすのでメールでは使用しないことが原則です。
⑩送信前にアドレスを再確認
郵便と違って、アドレスを1字でも間違えるとメールは相手に届きません。送信前にアドレスを再確認しましょう。よく送付するところはメールソフトにあるアドレス帳に登録しておくと良いでしょう。
⑪返信はなるべく早く
インターネット経由でメールを送った人は、受け取った人がそれを読んだかどうか確認できません。「了解」「受け取りました」など簡単な文で良いので返信を忘れないようにしましょう。
⑫定期的にメールを読む
最低1日3回はメールを読む習慣をつけましょう。また、よくメールのやりとりをする相手に、メールを読む時刻を伝えておくのも効果的でしょう。
○ 添付ファイルの注意点
□ フィル形式を確認する
添付ファイルを作成したアプリケーションソフトをメールを受け取る側が持っていないと、せっかく送られたファイルも開くことができません。送る前に確認しておくと良いでしょう。
ファイルを添付する場合、それがどんなアプリケーションソフトで作成したソフトか明記しておくと受け取る側が助かります。また、文字だけのファイルは、添付せずになるべく本文の中に入れましょう。
□ 添付方式に注意
そのファイルを作成したアプリケーションソフトが受け取る側のパソコンにインストールされていても添付ファイルが開けない、文字が意味不明の記号になって出てくる場合は、ファイルの添付方式が違うことが考えられます。もし、添付ファイルが開けないときは、発信者に添付方式を確認しましょう。
□ 重要なファイルを送る場合は安全対策を
重要なファイルを送るときには、パスワードをつけて送り、別メールや電話でパスワードを知らせる方法もしくは添付ファイルを暗号化した上で、キーをつけて送る方法など自衛措置を講じることが大切です。このような自衛措置を採ることによって、アドレスを間違えて送っても、受け取った人が開けないので安全です。
□ 大きなファイルは圧縮する
画像など容量の大きなファイルは圧縮して送るのが原則です。容量の大きなファイルは、受け取る側にはたいへん迷惑なものです。事前に連絡を入れておいてください。
また、添付ファイルの大きさにも制限がある場合がありますので前もって受け取る側に確認しましょう。
○ 電子ファイルに関する注意事項
□ いたずらメールは社内ネットワーク管理者へ連絡
郵便や電話と同じく、電子メールでもいたずらメールや、嘘の情報を流すメール、「不幸の手紙」形式のメールなどがあります。このようなメールが届いた場合は、直ちに社内ネットワーク管理者へ連絡してください。
また、受信したメールはいたずらの証拠になりますので、すぐに削除せず念のため保存しておいてください。
一定期間何ごともないようでしたら捨ててしまっても構いません。
□ 見知らせぬメールには要注意!
いたずらメールで最も悪質なものはコンピュータウイルスをもったメールです。ウイルスは、多くの場合添付ファイルに仕組まれ、ファイルを開くと同時に起動する仕掛けになっており、社内のコンピュータに多大な被害をもたらします。添付ファイルをもつ送信者不明のメールが届いたときは要注意です。このような場合は、至急社内ネットワーク管理者に連絡してください。
ウイルスの種類は、日増して増え続けています。感染を未然に防ぐために次の対応をしてください。
・ アンチウイルスソフトをインストールする
・ 社内ネットワーク管理者などから発信されるウイルス情報をこまめにチェックする。
7. 苦情・クレームの対応
クレーム対策を進める上で、まず意識していただきたいことは、クレームと苦情とは異なることを認識してほしいことです。お客さまが自社に対し期待しているからこそ、私たちに対し、「こうして欲しい」という要求・要望をクレームとして、ぶつけているのです。
したがって、クレームから逃げずに、むしろ貴重な情報源としてお客さまの要求・要望を素早く察知して、これらに沿うような行動をとることが対策の基本です。
また、最初の第一歩が大切で、例えば、上着の第一ボタンを掛け違うと、最後のボタンも食い違ってしまうように、クレームの初期応動を間違えると解決が長期化するばかりでなく、会社の根幹まで揺るがすこととなりかねません。
このために、第一対応者は感謝の気持ちを持ち、前向きに心を奮い立て誠実に取組むことが特に重要です。
それではクレーム対策の基本原則についてまとめましたので日頃から目を通し、いざというときにうろたえることのないようにしてください。
(1)クレーム対策の基本原則
○ クレーム対策の基本ポリシーを明らかにする
クレームから逃げずに、むしろ貴重な情報源として感謝の気持ちを持ち前向きに取組みましょう。
○ クレームは規模の大小にかかわらず全て管理者に報告する
○ クレーム対応は全ての業務に優先させる
○ 最初にお客さまの言い分をうかがう
最初の応対者である受付者は、クレームが自分の仕事から発生したつもりで、少しでもお客さまの感情を和らげてから担当者や管理者に代わりましょう。
「ご不自由をお掛けして申し訳ございません」
「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
・ 担当者がわからないときは、5W1Hで詳しくうかがい、管理者に相談する
○ 言い訳や反論をせずにお客さまの話に耳を傾ける
・ クレームの全ての面を聴く
・ まじめな態度で耳を傾け、先入観を持たずに聴く
○ 直ちにお客さまにうかがう
・ 電話で謝っているより直接お会いした方が、お客さまの怒りは鎮まりやすい
・ また、事実も把握しやすい
○ 言葉づかいには特に注意を払う
・ 穏やかでわかりやすいよう表現を工夫する
・ 「当社の取扱いでは…」「私どもでは…」という表現は使わない
・ 担当者が来客中または会議中であっても、「来客中です」「会議中です」の表現は使わずに「外出中ですので、私吉田がうけたまわりますが、いかがでしょうか?」の表現を使う
・ 「わかりました」「一応うかがいます」などの表現は使わない
(「承知しました」「早速うかがいます」の表現を用いる)
・ 言葉で詫びるばかりでなく、誠実な態度でお客さまの心を和ませる
○ 用件・申出事項をできるだけ的確につかむ
・ お客さまがどうして欲しいのか、何を望んでいるかをつかむ
・ 電話だけで処理しようとしない
(2)クレーム電話の応対ポイント
電話応対の中でお客さまからのクレーム電話を受ける場合があります。
ベルが鳴り通常のように電話に出た途端に、お客さまから怒鳴られたら、誰しもモタついてしまうものです。一般的な用件についての電話応対では少々のミスがあっても大目に見てくれることもありますが、クレームの場合の応対ミスは火に油を注ぐ結果となりがちです。
さらに、クレーム電話ではお客さまの感情が高ぶっているので、お客さまの感情を鎮め、クレームの内容を的確に把握するためには、自分の仕事に関係なくても“会社の代表”として、お客さまの言い分をよくうかがうことが大切です。したがって、皆さんは、日頃からクレーム電話の応対のポイントを具体的に身につけておいてください。
4つのポイント
①会社の代表者として対応する
・ 第一対応者の応対いかんで事後の解決の可否が決まる
・ 自分の仕事から発生したつもりで、お客さまの言い分をよくうかがう。その上で「~のことでご不満なのですね。早速、内部で確かめた上、責任者からこ連絡いたします」と話す
・ 自分だけで解決しようとしない
②クレーム電話を受けた際の態度
○ お客さまの言い分を否定しない
・ クレーム対応者は、お客さまの気持ちのたかぶりを察し、途中でお客さまの話をさえぎらない
・ お客さまの言い分がたとえ不合理でも、理屈で相手をやり込めない
・ こちらが正しい場合でも、正当性を主張せず、気付かせる程度に止る
・ たとえ、お客さまのミスや勘違いであっても、「私どもの説明の不足でした」とお詫びし、決してお客さまに恥をかかせない
・ お客さまが名乗らないからといって、名前を聞き出そうとしつこく深追いしない
・ 匿名の電話には「たいへん貴重なご意見をいただきました。ご意見は今後の業務運営に生かさせていただきます」とお礼の言葉と自分の名前を名乗る
③自分の手に負えないクレームのとき
・ 自分の担当以外の仕事だからといって、よく話を聴かずに他の人に電話を回さない
・ 代わる場合、お客さまに「恐れ入りますが、わかる者に代わりますがよろしいでしょうか」と了解を得て、交代者に要件やクレームの概要を伝えてから交代する(たらい回しされたという印象を与えない)
・ 電話を保留する場合のオルゴール音は、イライラを増すことが多いので使用しない
④クレーム記録の整備の仕方(参考)
・ お客さまの意見・要望と当社の話した内容を主観を交えずに、ありのまま箇条書きする(話し言葉で書くのも良い方法)
・ 記録する際は、“お客さまの意見・要望”“当社回答内容”“備考”等に分けて記入する
・ “備考”は感じたことや、お客さまの表情・態度・状況などを記入する
・ お客さまにお会いし謝罪する場合、一人では対応しない
・ お客さまの了解を得た後にメモを取る(ご了解が得られなかった場合、一人は極力冷静に相互の話の内容を記憶しておき帰社後メモを取る)
・ クレーム対応の基本行動、ルールを明文化して徹底する
・ 解決後なぜ発生したか、原因は何か、今後どうしたら良いかを関係者間で検討し、再発防止策を練る